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リンスタンドで自動車への給油や、タンクローリーから地下タンクヘの注油を行うことは、著しく災害発生の危険が高まるため、それらの行為を火災が鎮火するまでの問禁止するため緊急使用停止命令等を行う場合などである。
(二)命令事項
命令のできる事項は、「使用の停止」と「使用の制限」である。
「使用の停止」については先に述べた通りであるが、「使用の制限」とは使用の停止に至らぬ使用の制限であり、例えば、移送取扱所の送油量を通常時の三〇%に減ずるよう命令したり、屋外タンク貯蔵所の油の受け払いの禁止を命ずる場合などが考えられる。
(三)命令の期間
この命令は、期間を定めずに行える点に大きな特色があるが、これは、この命令の要件となる状況が通常は長期にわたることが少ない点と、どの程度の期間命令が必要であるかの判断ができにくいなどの理由が考えられる。
しかし、あらかじめ危険な状態が去る時期が客観的に予測可能なときは、期間を定めて命令することが望ましい。また、緊急の必要性が去ったときは、ただちに命令を解除すべきである。
七、 事故時の応急措置等
危険物施設における危険物の流出など事故が発生した場合、法は所有者等に対し、災害発生を防止するため危険物の除去などの応急措置を行う義務を課すとともに、市町村長等に対し所有者等に対する応急措置命令権を与えている。
(一)応急措置義務
危険物施設における危険物の流出などの事故は、爆発、火災など大きな災害につながる危険が大きい。このため、災害発生の防止にあたっては、所有者等により早期に応急措置が実施される必要がある。
法に示された「引き続く危険物の流出防止」「拡散の防止」「危険物の除去」などの応急措置の態様は、ただ例として示しているものであり、応急措置の内容は事故の状況に応じ最善の措置が求められている。
(二)事故の通報義務
火災の通報義務は消防法第二四条第一項により規定されているが、危険物施設の事故については火災とは異なるため別に規定する必要があった。
通報の義務者は事故の発見者である。発見者である以上、その者の立場は問わない。通報場所は「消防署」「市町村長の指定した場所」「警察署」「海上警備救難機関」であるが、そのうちの一つに通報すれば足りる。
(三)応急措置命令
市町村長等は、危険物施設の所有者等が応急措置を講じていないと認めるときには、応急措置を講ずるよう命令する権限を与えられている。
ここでいう「応急措置を講じていないとき」とは、応急措置は行なわれているがなお不十分である場合が含まれる。なお、ここでいう応急措置とは、事故の拡大防止と災害の発生防止のため行い得る最善の措置であるので、所有者等の応急措置も、この点から十分であるか否かの判断をし、早期に適切な応急措置命令を行うべきである。
なお、この命令に従わぬ場合には罰則が適用される。

 

八、 無許可施設等に対する命令
市町村長等は、無許可施設等の所有者等に対して、当該施設に貯蔵し、又は取り扱われている危険物の除去その他危険物の災害防止

 

 

 

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